『Swing Era』 DUKE ELLINGTON AND LIONEL HAMPTON米idem home video 2004 まあ、オヤヂの繰り言ですばってん。 デューク・エリントンとライオネル・ハンプトンという二人のビッグバンド・リーダーにスポットを当てたidemのDVD。わてが見たかったのはエリントンのSoundiesフィルムとハンプトンのお姿である。 ●一曲目のSophisticated Ladyから7.The Hawk Talksまでのエリントンの映像はSoundiesではなくterescriptionから。ドラムが名手ルイ・ベルソンということで1952年の制作である。 わてはどっちかというとJumpバンドっぽいのが好きだったので、エリントンは馴染み薄。しかもterescriptだからあまり期待せず、とはいえせっかく買ったからじっくりと見てみた。改めてフィルムを眺めて、やっぱエリントンが偉大だと言われるのが解る気がした。 1.Sophisticated Ladyや3.The Moocheなどにしても、独特ですごく構築されたオーケストレーションに耳を開かれる。楽器それぞれの音が重なるとき、そこに美しく黒い感覚が醸し出されてくる。ブラスセクションに絡むエリントンのピアノのオブリガードがこれまた素晴らしく繊細な音選びなのだ。 2.Caravan、6.VIP's Boogieでフューチャーされる各人のソロでは、わてはレイ・ナンスのヴァイオリンが最も気に入ってしまった。 さて、8.I Got It Bad and That Ain't Goodからは、待っていたSoundiesフィルム、計4編である。 映画『Minnie The Moocher』でエリントンのSoundiesは部分的に紹介されてはいた。同映画にもインサートされた11.Hot Chocolateはすでに日本盤ソフトで全編見ることができた。これはホワイティ・リンディ・ホッパーズという有名なリンディホップダンスのチームの驚異的なアクロバティック・ダンスがフューチャーされた作品。 映画『Minnie The Moocher』について言うと、いろんな演奏シーンが短く編集されたエリントンの紹介部分は、編の中でボーカルナンバーのバンド演奏部分のみを繋いでいたことが解った。 8.I Got It Bad and That Ain't Goodは、1940年代初頭のメンバーで女性ボーカル、アイヴィ・アンダースンをフィーチャーしたナンバー。色男エリントンと悩むアンダースンという設定。間奏の演奏部分がやるせないダルなムードを見事に表現している。 わて的にタマランと思ったのは9.Bli Blip。この曲は初見、バンドの演奏シーンはなく、若い黒人男女のダンスとバップスキャットを見て聴かせるもの。とにかくスキャットは当時のラップといってもいいもので、さらに二人が見せるダンスステップとエリントン楽団の演奏が凄い。ジャズが当時どう楽しまれていたかを知ることができる。なお、ダンサーの男性の方は、映画『Minnie The Moocher』で最後に紹介されるドロシー・ダンドリッジのSoundies「I Wanna Zoot Suit」で共演していた人だろうと思う。 12.C Jam Bluesもいいフィルムで、エリントンとリズムセクションの演奏から始まって、一人ひとりメンバーのソロが加わっていく。中でもベイシーにスティックを捨てさせた名手ソニー・グリアのドラミングは「さすが!」と唸らされる。 ●続いては、ライオネル・ハンプトン。正味、1950~51年のterescriptionであまり期待していなかった。しかし、その予想を覆す素晴らしいデキであった。 13.Midnight Sunは1946年発売の有名な作品。ハンプのヴァイブが美しい幻想的ナンバーで思わず聴き惚れる。 14.Beulah's BoogieはこのDVDのハンプの良さを象徴しているナンバー。お得意のブギで、リフは「Flying Home」の援用。ハンプトン楽団のR&B的な個性が充満して最高である。ハンプはヴァイブ、フロアタムとボンゴを鳴らして熱演、最後はフロアタムに登ってしまう。スティックさばきも手品みたいで面白い。 15.Love You Like Mad,Love You Like Crazyは女性6人に取り囲まれたモテモテのハンプという演出。ハンプのボーカルで聴かせるナンバーで、わては彼の声質はいいお味と好みである。 有名な17.Cobb's Ideaではバンド全体がノリノリの演奏を展開。もうピアノプレイヤーなどは椅子の上でお尻がジャンプするほど。テナーもまさに吹きまくりである。これぞハンプ楽団の魅力の神髄という感じ。だいたいにおいて収録されたナンバーはバックの演奏陣もブロー気味で、プレR&Bとしてのハンプ楽団が持つ良い意味での野卑さを、このフィルムはしっかりと伝えてくれる。 ジャック・シフマンの名著『黒人だらけのアポロ劇場』にある、「Flying Home」の演奏中あまりの興奮ぶりに二階席から女性ファンが落っこち劇場が揺れたという有名なエピソードが納得のパフォーマンスの数々。もう、ほんとにタマランね、やっぱハンプはエエ。 『Swing Era』 GEORGE SHEARING AND OTHERS米idem home video 2004 まあ、オヤヂの繰り言ですばってん。 わてがこのDVDを買ったワケは、スリム・ゲイラードの映像、これに尽きる。しかもamazonでは1,157円 (税込) という信じられない価格だ(現時点)。 amazon検索中に、アナログ時代にリイシューされたサヴォイ盤『Cool Jivers & Hot Noisemakers』収録の2曲「Laguna」「Dunkin' Bagel」が目について仕入れたが、実際に商品を見たら他にも4曲入っていた。注意不足であった。 Jiveミュージックの巨匠であるスリムのお姿は、戦前のスリム&スラム時代に撮られたショートフィルムが存在している(わては未見)。この作品に収録されているのは1947年制作のショート・フィルム『O'Voute O'Rooney』。バム・ブラウン(b)、スキャットマン・クローザーズ(ds)とのトリオでの演奏で、ファンならタマラン編成である。全体がひとつの短編映画となっており、途中タイトルの切れ目無く連チャンでフィルムが回っていく。 シチュエーションは、大きな白人向けナイトクラブに出演している3人、という風情。レディース&ジェントルマン&おとっつあん、おっかさんを前に、諸国放浪の旅人・スリムらしいハチャメチャな外国語もどきJiveトーキングと、それに呼応するブラウン、クローザーズのパフォーマンスが堪能できる。 スリムは、ギターとピアノを交互に演奏。途中、ピアノでは手の甲を鍵盤に向けて弾くお遊びを見せたりもしてくれる。おデブさんながらもせわしなくベースを弾くブラウン、白人が抱く黒人のイメージ面(薄ら笑いでホケーとする)であえてドラムを叩くクローザーズ、に対してクールに観客を見るスリムの表情が面白い。 東にあきれたぼういず在らば、西はスリム----ジャズ漫才の東西横綱であらふ。全盛期のスリムの映像はやはり宝物だ。 「Laguna」「Dunkin' Bagel」の2曲については部分的だが、10数年前にイギリスのTV番組『ナイト・ミュージック』を見る機会があって、そのタイトルバックで初めて遭遇していた。番組自体は最晩年のスリムが出演したもので、たぶん最後のTV登場となったかもしれない。髪も髭も白くなりながらも彼のJive精神は枯れていなかった。バックを務めるデビッド・サンボーンやマーカス・ミラーも楽しげに大先輩の助演を務めていたものだ。 さて、もうひとつ驚きの拾いものは、スリム・ゲイラードのかつての相棒スラム・スチュワートの一曲「Oh Me Oh My Oh Josh」だ。スラムのベースにギターと女性ピアノというトリオでの演奏。これも『Boy,What A Girl』というショートフィルムの一部らしく1947年の制作。ベースのボウイングとスキャットでユニゾンする十八番の妙技を披露してくれる。 ハウスレント・パーティみたいなセットで演奏するスラムのトリオという演出なのだが、音楽のみならず、当時の黒人大衆の生活ぶりが伺える風俗資料として貴重で、これはいうなればアーカイブだ。そういう点が、演奏のみのTerescriptionはちょいと物足らない(演奏だけ残っているだけでもめっけもんではあるが)。 残るのは白人勢のジョージ・シアリング、 メル・トーメ、 ザ・ボッブ・キャッツ、ラルフ・フラナガンときて、トニー・パスターOrchと来る。正味、フラナガンまでは、わてにとってちょっと縁遠い世界ではある。またフラナガンとトニー・パスターについては裏ジャケ英文ライナーには名前さえ書かれず、そげな扱いとなっている。 がしかし、アーティ・ショー楽団のテナー奏者でボーカルもこなし人気があったというトニー・パスターは1990年本邦発売の『スイング・スター・オン・パレードVol3』というLD盤でSoundiesフィルム「Paradiddle Joe」を見て以来、白人ビッグバンドながらも結構好きだった。 パスターはノベルティ色が強いボーカル物が得意みたいで、またボーカルは確かに味がある。曲によってはJunp的なアレンジでやや黒いノリもあり、聴いていてしばし体が揺れる。高尚な音楽性風情とは無縁な“何でも無さ”がわての琴線に触れる人である。 このDVDでは、カラー版も含めたTerescriptionが5編、今まで未見のSoundies「Oh Marie」1編が収録されている。制作年代的に10年の差はあると思われ、Soundiesよりも後代のTerescriptionでは、パスタはけっこう体躯が膨張していた。 収録作は、自身がヴォーカルを取る他、同姓のトランペッター(息子?)や女性シンガーとの掛け合いノベルティ・ナンバーがほとんど。また、わては存じ上げない女性シンガーが歌う「カモナ・マイ・ハウス」があったり----パスタはローズマリー・クルーニーおよびシスターズと録音を残している----と楽しめることは楽しめる。 以上、スリム+スラムを拝むのに1,157円 (税込)ったあ、めっけもんという一席。幕。 『Swing Era』 Count Basie and othersまあ、オヤヂの繰り言ですばってん。 米idemがリリースしているSwing Eraシリーズは、1940年代初頭に全盛を誇った映像が出るジュークボックス「Soundies」や、世界初のクリップといわれる1950年前後に制作された「Snader Telescriptions」のフィルムが集成されている。登場するのは、当時流行の先端であったジャズやポピュラーのミュージシャンたち。白人黒人、他のマイナリティ問わず、ずらりと顔を揃えている。 さて。これまで日本のメーカーからも同内容の映像が、個々に販売されていた。が、この米idem盤、それらと比べて極めて画質が悪すぎる。微妙にブレて画面が揺れたように見えるのだ。あまりにもひどいので制作者の神経を疑うんだけど、収録された記録---そう、文字通り65~55年前のジャズシーンを後世に伝える貴重な記録である----があまりにも素晴らしいので、このシリーズの盤は手元に置かざるを得なひ。 ●まずカウント・ベイシーだが、始まりはスモールコンボでのテレスクリプションで1.Basie Boogie、2.If I Could Be With You (One Hour Tonight) 3.Basie's Conversation 4.I Cried for You 5.One O'Clock Jumpと続く。さらに41年制作と見られるSoundiesフィルムから他先行ソフトでも既発の6.Take Me Back Baby 7.Air Mail Specialが拝める。 特に「Air Mail Special」は、当時流行した“ノンストップで踊り最後に残ったカップルが賞品を貰える”というダンスコンテストのパロディで、オチは見てのお楽しみ。こういう風俗部分がまた貴重。これまでの既発売分では、冒頭のベイシーのナレーションやオチの部分がカットされていた。 ●次のファッツ・ウォーラーも、これまでの既発分では大幅なカットが行われいたことが判る貴重なフルバージョン。8.Honeysuckle Roseなどは、実はギターの間奏などが大幅にカットされていたことが判明。やっぱ通しだとノリがまったく違う。その他の映像も同様。 とにかくファッツ・ウォーラーの、音楽家としてもエンタティナーとしてもその凄さを実感するお姿である。 ●ルイ・アームストロングは、12.When It's Sleepy Time Down South 13.Shine 14.I'll Be Glad When You're Dead, You Rascal, You 15.Singin' on Nothingの4曲で、すべて既発。南部の農家のセットでルイが歌うWhen It's Sleepy Time Down Southはあまり好みではないが、バンドと巨体女性ダンサーが絡む他の3曲は素晴らしい出来映え。 映画『Minnie The Moocher』では一部のみ見れたShineは、今回フルで。曲も、演奏も、歌も、ルイの勇姿も、モデルのカワイコちゃんたちも、男性ダンサーも、すべてがいい。ルイの黒人音楽家として、アンクル・トムではない証ともいうべき映像である。黒人大衆芸術・芸能の精華であり、ジャズは決して頭で聴くものではない、という見本だと思っている。 さて、フィルムの記録性という観点でいえば、カットは大きな問題(この盤ではSoundiesフィルムのタイトル部分が真っ黒+曲名スーパーだったり)だが、ルイのI'll Be Glad When You're Dead, You Rascal, Youでは重要な別問題が潜んでいた。 この作品では、最後の方でルイがバンドのメンバーとボーカル(セリフ)の掛け合いをやるシークセンスが出てくる。ルイがピアノに近づき、そこでピアニストがプレイを止めてピアノの天板(っていうのかな?)に置いていた新聞を開き、それをルイが覗き込んでセリフを吐くのだが。 日本版ではルイがセリフを吐いたところで画面が切り替わり、バンド全景の演奏シーンとなる。わては、「なぜピアニストが新聞を開き、それをルイが覗き込んで指を差す必然性がどこにあるのか?」、まったく理解不能でも長らく気になっていた部分だった。しかし、このDVDでその疑問が氷解した。 実は映像の一部が日本発売分ではカットされていたのである。ノーカット版では、ピアニストが新聞を開き、次に紙面がアップになる。そこには第二次世界大戦の枢軸国元首であるヒットラー、ムッソリーニ、天皇ヒロヒトの写真がドカンと大写しになっていたのだ。この映像の制作は1942年で、米国が初戦の敗退から巻き返しを図る時節、そして曲のタイトルは「お前が死んでくれれば嬉しいよ」である。 これまで日本で出たLDやビデオでは、「不敬」に当たる、としてカットしたのだろうと推測している。 ●次。やや時代は下るが、ロックン・ロール期のジョー・ターナーの貴重な映像が2本。16.Oke She Moke She Popに17.Shake, Rattle and Rollである。バックはポール・ウィリアムスのコンボ。Shake, Rattle and Rollは20年ほど前に公開された映画『Cジャズの侍たち』に挿入されていたのだが、映画館で上映されず、LDも買い損ね。これでやっと見れた。手をクルクルと回しながら歌うターナーの姿は美しいとさえ言える。 ●ジーン・クルーパは、ベニー・グッドマンのもとで著名となった人気白人ドラマーだが、40年代に入ってアニタ・オディとロイ・エルドリッジを擁した人気楽団を率いていた。 白人バンドはあまり好みでないわてだが、21.Let Me Off Uptownと22.Thanks for the Boogie Rideの2曲は、音にも映像にもホの字である。当時18歳の初々しいアニタ・オディ、そして彼女と著名な黒人トランペッターのロイ・エルドリッジの掛け合い漫才、それぞれのボーカルや演奏もベストだ。 ●どの映像も貴重なんだけども、その最右翼がラッキー・ミリンダー楽団だろう。大物にはなれなかったし、演奏もジャズというより先駆的R&Bと捉える向きも多い。だからこそ、イイのだ。ミリンダーの愛敬ある顔もまた、大衆芸能的で◎である。 41年半ば制作のサウンディーズフィルムから23.Hello Bill 24.I Want a Big Fat Mama 25.Four or Five Times 26.Shout Sister Shout。23と24はミリンダー楽団のみの出演で、前者はミリンダー御大が、後者はギタリストがヴォーカルを取る。ぬぅあんとも大衆的なノリがタマラン世界である。 動くシスター・ロゼッタ・サープが拝める25.26.は感動の2編。その動く姿が拝めただけでも、神に手を合わせねばならない。25はかつて出たLDで拝んではいたが、26はお初。ギターを持ったサープがバンドやモデルの女の子とともに登場し、.Shout Sister Shout!とパフォーマンスを展開する。これが見れるだけでも買う価値あり!と断言。 しかし、サープのディスコフラフィーをチェックしていたら、サープ出演分のもう一曲The Lonesome Roadが入っていない。全部入れろよなぁ・・・もぉ(>_<) さらにミリンダーでは、Snader Telescriptionsで、男性歌手がらみの27.Unidentified Title、28.Sweet Slumber、ヒット曲29.Let It Roll、30.I Love You, Yes I Do、サックスブローワーの古典31.Do the Hucklebuckと連打が続いていく。 ●最後は伝説のタップダンサー、別名ハーレム市長ことビル・ボージャングル・ロビンソンの32.Let's Scuffleでこれは既発。 まあ、とにかくオールドジャズやR&B好きの人は見逃せない作品集ですよ。ほんと。 『SISTER ROSETTA THARPE』Complete Recorded Works 1938~1944 In Chronological Order Volume1(1938~1941) オーストリアDocument◎DOCD-5334,5335 1995 まあ、オヤヂの繰り言ですばってん。 ゴスペル歌手兼ギタリスト、ゴシスター・ロゼッタ・サープは偉大なる宗教音楽家・・・とわては長年信奉している。音楽自体の素晴らしさに加えて、その姿勢に共感するからだ。 1941年、チャーチ・オヴ・ゴッド・イン・クライストという教派の文字通りシスターであった彼女は、ギターを抱えてビッグバンド「ラッキー・ミリンダー楽団」と共演、ナイトクラブのステージにも立つ。もちろんゴスペル界から「世俗と交わるとは何事!」と批判の矢が集中したという。 サープの心中をわては直接知ることはできないが、信仰の高みに留まるだけでなく、衆生と同じ地平に降り立って救済を図ろうという想いがそこにあったのではないかと、推察している。サープの音楽を聴いているとそんな気になるのだ。 思えば、日本芸能の事始め、特に中世期の新仏教諸派と今に命脈を伝える芸能の関係は深い。放浪の宗教者は衆生の元に降り立ち、衆生の言葉で救済を説いた。サープはビッグバンドとステージに立ち、酒と煙草と嬌声が満ちるクラブの中で歌った。あえてそういう場に登場したのは、単にコマーシャリズムへの傾斜だけではない気がする。 例えば38年から始まる初期録音の「Rock Me」「That's All」「Lonesome Road」「This Train」などの代表曲は、サープひとりのギター弾き語りスタイル。ギター・エヴァンジュリストの感じが強く、ぬぅあんというか素朴な土の香りがする。伝統に則り、守るという傾向である。まあ、女性でギタリストで、っというだけでも型破りではあるんだけど。 その後41年に、ラッキーミリンダー楽団とのコラボに転じるわけやけども、ビッグバンドという当時最新のスタイルを取り入れることに、サープの「より衆生と身近に」という嗅覚の良さを見る。 ミリンダー楽団とのスタジオ録音「Rock Daniel」「Shout, Sister, Shout」「Rock Me」「That's All」は、わてにとっては珠玉の作品。楽団のビートに乗って、絶妙の節回しのヴォーカルとシンプルでありながらもアグレッシブなギター単弦ソロが鳴り響く。41年の時点でこの女流単弦ソロ、これは凄い衝撃だったでのは無かったらふか。フレージングはまるでロックンロールのようだ。 Soundiesフィルムのサントラ「Four or Five Times」「Shout, Sister, Shout」「Lonesome Road」も正規のスタジオ録音とはフィルム用の別テイクなので要チェック。フィルムそのものもサープのお姿を記録した貴重なもので必見。「Shout, Sister, Shout」ではフルアコのギターを抱えた姿でお出まし、ときてこれがまたカッコイイ。フィルムの荒れが激しく、いかに当時人気だったかが伺える。 サープについては近年、トリビュートのアルバムも登場した。ミュージシャンたちからの崇敬も篤い。聖と俗の境界、男と女の境界、それらをあの第二次大戦前の時代に超えてしまった人ゆえの存在感が、 音に宿っているからだと思ふ。 ![]() 『ザ・ヴェリィ・ベスト・オブ・スレイド』 DVD ユニバーサルミュージック UIBP-1030 まあ、オヤヂの繰り言ですばってん。 1970年代初頭、グラム・ロック時代におけるヒットメーカーであったスレイドのベスト映像集ともいうべきDVDが発売になっていた。 彼らを初めて雑誌『ミュージックライフ』のグラビアで見たのは1972年。どう見ても、ボランやボウイが漂わせていた妖艶な、はたまたトランス・ジェンダーな雰囲気は木っ端微塵もなく、無骨なおやっさん的ムードが横溢していた。イギリス本国ではアイドル的人気だと記事にあったりして、ホンマかいな?と疑問符のてんこ盛りであった。 シングル盤の批評もまったくもって下の下、ごくごく一部の評論家しか認めていなかった感じである。ヒョーロン家たる者、斯様なバンドと音楽を認めようものなら沽券にかかわるちゅーところか。 しかし、音楽はホンモノだった。ベスト盤『SLADEST』で怒濤のヒット曲群に触れたわてや親友は、彼らにゾッコンとなってしまった・・・で幾星霜。 洋楽のヴィデオクリップなどほとんど日本では電波に流れないあの当時の情勢ではあったばってん、こうやって彼らの全盛期のお姿を眼前にできるとは、長生きはするもんである。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ このDVD、3つの構成に別れている。 最初はWALL OF HITSというパートで、「Coz I Luv You」から「Mama Weer All Crazee Now」「Gudbye T' Jane」「Cum on Feel the Noize」といった全盛期ヒットに加えて、復興期の「My Oh My」「Run Runaway」、そして91年の一時的再結成の「Radio Wall of Sound」までの代表曲集。 全盛期はクリップではなく、ドイツのTV番組出演時の「Coz I Luv You」(日本既発)が生演奏だが、ほとんどはTV番組の口パク物。というと評価が低くなりそうだが、これだけの映像がこれまで集大成されるどころか拝むことさえ出来なかったが故に、貴重すぎるほどに貴重だ。 もう、ギンギラギンのデイブ・ヒルを拝観できただけでも、グラムファンからすると泪が止まらんちゅーのが正直なところ。見た目の存在感にしろギターのプレイにしろ、なにかとミスマッチ感があってスレイドの看板キャラとして我々の心に焼き付いているデイブ・ヒルである。「ありがたや」とわては手を合わせちまったね。 思わずジーンと来たのは、91年作のクリップ「Radio Wall of Sound」。Who's that?という歌詞の次に後期のマーク・ボランの写真がインサートされ、ボーカルをとるジミー・リーが「Telegram Sam」と歌うのだ。あのグラム時代へのオマージュなのだが、これが泣かずにおられりょか。 次のパートはスタジオ・ライブ映像で生演奏だ。名盤と言われる『Slade Alive』の再現ともいうべきラウドな演奏ぶり。ノリ一発の潔さがこれまたスレイドらしいといえばらしい。こういう映像が遺っていたとは嬉しい限りである。 最後はモア・ヒッツということで、落ち穂拾い的な映像集。彼らが出演した唯一の主演映画からのワンシーンありぃの、TV番組出演のビデオありぃのといったもの。これも見逃せない。 中でもヒット曲「Take Me Back 'Ome」の映像はダンス隊の美女連が極めて王道である。メンバー4人と同じデザインの衣装を着た4人の女性ダンサーが演奏中の仕草をなぞる振り付けで凝った演出。中でもノーディ・ホルダーの横で踊るねーちゃんが美人だ。エエ女・・・とはいえ、現在も生きているとすれば軽く50才は越えているだらふが。 ちゅーわけで、耳の保養はもちろん目の保養にもベストな一発。やっぱスレイドは偉大、デイブ・ヒルこそグラムの大日如来と実感した次第。スレイドに関して、これ以上の作品は無からふ。発売に間に合ったことは本当に神に感謝してもしきれんのだ。 合掌。
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